
「AI推進役を決めましょう」と言われて、なんとなく手が空いていそうな人や、ITに強そうな人を指名した経験はありませんか。実はこの決め方が、AI活用が社内に広がらない一番よくある原因です。
「経営が号令をかけて終わり」「現場に任せて放置」——どちらのパターンも、多くの企業がすでに通り、失敗してきた道です(AI導入のステップ——失敗しないための4段階の進め方でも推進役の設置に触れましたが、本記事ではそこを深掘りします)。本記事では、AI推進役(以下、アンバサダー)をどう選び、何を任せるべきかを、実際に制度を運用している企業の実例とともに解説します。
AIの社内展開を成功させている企業に共通しているのは、経営の号令だけで終わらせず、現場に推進役を立てていることです。ここで本当に重要なのは、推進役という枠組みを作ることそのものより、「誰を選ぶか」です。
この3つを満たす人が各部署に最低1人いれば、アンバサダー制度は十分にスタートできます。
役割を決めただけでは動きません。具体的な活動内容を、次の4つに整理しておきましょう。
日立製作所 社内に蓄積された1,000件以上の生成AI活用事例をもとに、経営・営業・データ分析・システム開発など各業務に精通した16名を初期メンバーとして「GenAIアンバサダー」に任命。特定部門に偏らせず、業務領域をまたいで配置している点が特徴です(出典)。
トヨタコネクティッド 各部門から選出された約90名がアンバサダーとして活動。4〜6月の3か月間で168件のユースケースを発見し、スライド作成・Excel処理・ナレッジFAQなどの業務で中央値67%の時間削減を実現しました(出典)。
学研グループ 各事業会社から総勢36名のAIアンバサダーを選出。3月に基礎研修を受講し、5月から「業務効率化と生産性向上」をテーマに自組織の課題解決プロジェクトを開始、8月に成果発表会を実施するという半年サイクルの型を作っています。「学ぶ→試す→発表する」という区切りがあることで、活動が途中で立ち消えにならない設計です(出典)。
artience株式会社 「生成AIネイティブ500」を掲げ、核人材層200名・積極活用人材層300名を3年間で育成する計画を推進中。各部署の核人材層が推進役を担う設計で、年間21,000時間、3年間で約160,000時間の業務削減を目指しています。この人材育成計画は、弊社パンハウスが研修を通じてご支援させていただいています(詳しくは導入事例を参照)。
AI推進役が機能しない一番よくある原因は、「誰でもいいから」で決めてしまうことです。挙手制で意欲を確認し、利用データがあれば実利用者を優先し、業務理解と変革意欲を見る——この3つの基準で選ぶだけで、その後の勉強会運営や事例共有が自然に回り出します。日立・トヨタコネクティッド・学研グループ・artienceのように、規模や業種が違っても「誰を選ぶか」を丁寧に設計した企業が、結果を出しています。
まずは各部署に最低1人を目安にしてください。3つの判断基準(挙手制・利用実績・業務理解と意欲)を満たす人が見つからない部署は、無理に選ばず、他部署の事例が育ってから声をかける方が自然です。
活動時間の上限をあらかじめ決めておくことが有効です。上限を決めないと、頼れる人ほど疲弊して離脱し、制度自体が続かなくなります。
それ自体が典型的な失敗パターンです。営業・製造・バックオフィスなど「本当に広げたい現場」から意図的に声をかけ、業務理解を優先する基準に立ち返ってください。日立の事例のように、業務領域をまたいで配置することが定着の鍵になります。
推進役の育成、一緒に設計しませんか?パンハウスでは、AI推進役(アンバサダー)の人選から研修設計、社内展開の伴走まで支援しています。「誰を選べばいいか分からない」という段階からご相談ください。詳しくはこちら
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